LEVI PATA
LEVI PATA 1985 - United States
LEVI PATA / リーバイ・パタ

1985年ホリスター(カリフォルニア)生まれ。2009年から2年間東京で活動、その後サンフランシスコへ戻る。2016年、京都へ移住。現在京都を拠点に制作活動をおこなっている。2019年1月パリコレで発表されたTAKAHIROMIYASHITA TheSoloistの2019FWコレクション「1ONE MY WAY」のデザインに自身の作品を提供。
本に、作品集「小さい部屋から」、ポストカードブック「ANOTHER SUNSET」、(HeHe出版)。

去年、僕の故郷であるカリフォルニア州のパラダイスという町がカリフォルニア史上最大の山火事で完全に焼けてなくなった。急速に広まる火から逃げ切れず何百人という人が亡くなり、森の中にあるこの町と近隣の町から約5万人が避難を余儀なくされた。その日お母さんから「パラダイスが焼けた」とメールがきた時、京都は夜で、僕はちょうど自分の33歳の誕生日を祝っていた。最近では山火事は珍しいことではなかったから、翌朝にその事が国際的なニュースに発展しているのを知るまで、そのメールの一文からは事態の大きさに気付かなかった。

パラダイスの焼失は、あれから僕の内側で起こったことを象徴している。5ヶ月が経った今、京都の川のほとりの満開の桜の木の下でこの文章を書きながら、そう考えている。操縦士がいない何千もの蝶の羽のように白い花びらが舞っている。あの町のことを想う───僕の人生の半分の思い出がつまった場所、お母さんの家と猫たち、僕の古い作品、その全部が灰と化した。一つ前の文章を書いていると、繊細な花びらがひとつ、僕のノートに落ちてきて、この文章を書ききる前にまた飛んでいった。自然が示す「この世の全ては恒ならず」という真実を受け入れることで、内側に再生に必要なスペースが生まれる。

火事の後、お母さんは新しい町で新しい家をみつけて、僕はここにある絵を作った。だから僕もいつか灰になる日がくるまで、「いま」を表現するのみだと思う───ここに展示してある作品たちは僕から「今日」にあてた手紙である。

By LEVI PATA

2019年1月パリコレで発表されたTAKAHIROMIYASHITA TheSoloistの2019FWコレクション「1ONE MY WAY」のデザインに自身の作品を提供。
本に、作品集「小さい部屋から」、ポストカードブック「ANOTHER SUNSET」、(HeHe出版)。