この度Art Technologiesでは、久保田香の個展『Lichter』を開催いたします。

久保田は、1990年代後半からドイツのデュッセルドルフに滞在しながら、写真や楽器を用いた作品やパイプ状の木材を接いだ立体作品など、様々なタイプの作品を手掛けてきました。徐々に絵画的な作品の比重を高めると、グラデーションを活かした油彩画の研鑽を積みました。帰国後の2016年以降も、故郷の福岡県久留米市を拠点に制作を続けています。

久保田の平面作品は、キャンバス全体に色彩を丹念に塗り重ねることで生まれる淡い発光体のような色面を特徴とし、繊細に関係し合う色彩の表情は鑑賞者に測りがたい画面の奥行きを浮かび上がらせます。

本展示を構成する「Lichter」シリーズは、作家自身が制作のテーマにも掲げる「光」をモチーフにしたもので、ドイツ滞在中の2010年頃から精力的に制作している油絵具のグラデーションによる作品です。

ブラシストロークの力強い律動が画面を形づくりながら、色彩が滑らかな諧調を伴って変化し、巧みに空間的な調和をもたらします。密度や濃淡を丁寧にコントロールすることで絵画に空間性を表出させ、画面の中に光の気配を作り出しています。

同スペースでは初めての展示となる今回の展覧会では、久保田のLihiterシリーズの最新作9点を展示いたします。