Exhibition

この度MARGINでは、マーロン・グリフィスの個展「SCORE FOR A PROCESSION」を開催いたします。

トリニダード・トバゴで毎年開催されるカーニバルのコスチュームデザイナーとしてキャリアをスタートさせたグリフィスは、これまでパフォーマンスやインスタレーションを中心に世界各国で作品の発表を行ってきました。

2009年からは日本・名古屋を拠点として、美濃和紙や墨、木版画といった日本の伝統的な表現技法を学びながら、作品に活用する技術を研鑽してきました。グリフィスの作品は、トリニダード・トバゴ公式の行事であり、国にとっても重要な意味を持つ、カーニバルを源流としています。

刹那的で時間芸術の側面を持ち、身体表現や知覚に対するパフォーマンスを取り入れた現象学的なアプローチを試みながら、鑑賞者との間にインタラクティブな関係を持たせることで、作品との対話を誘発する余白を残しています。

本展のタイトルにもなっている新作「SCORE FOR A PROCESSION」は、世界的に広まったパンデミックによるコミュニティ間の断絶に対して、心拍という人類共通の現象を通じて、空間と時間を超えて人々を繋ぐナビゲーションとして始まったプロジェクトです。自らの心臓の鼓動を律動として、閉じられた世界で自己と対話しながら、墨を用いて幾度も繰り返し描画することで、作品は絵画でありながらリズムを持った「スコア(楽譜)」になっていきます。

このプロジェクトは、現在ドイツ・カッセルで開催中のドクメンタ15にて、コレクティブチームALICE YARDとの共創によって進行中で、グリフィスはドクメンタ15の会期中、毎日1枚の作品画像をカッセルに送り、展示しています。現地ではさまざまなバックグラウンドを持つ来場者たちも自由に参加し、このプロジェクトを補完しています。

そのプロジェクトの締めくくりとして行われる本展では、会期中にグリフィス自身が毎日描き溜めたドローイング100点を一堂に展示致します。

オープニングを飾る9月17日には、ドクメンタ15のプログラムとしての参加型パフォーマンスを行います。来場者は自由にこのプログラムに参加することができ、一人ひとりの心音の日々の積み重ねが、抽象的な形とアイデアに変わり、国境や人種の垣根を超えて私たちの心が交差する喜びと困難の両方の瞬間を物語ります。

このイベントの締めくくりには、作家本人がカッセルの会場と映像を中継したドローイングパフォーマンスが行われますので、この機会にどうぞご高覧ください。

Artist

Marlon Griffith | マーロン・グリフィス
マーロン・グリフィス(Marlon Griffith)は、1976年トリニダード・トバゴのポート・オブ・スペイン生まれのアーティスト。2004年以降、ヴィジュアルアートとパブリックパフォーマンスを融合させた作品を世界中の様々な国で制作・発表をしている。2009年からは日本に在住し、トリニダードの文化の持つ特色に加え、美濃和紙や墨など様々な日本の文化を学び取り入れることで、強い独自性を持った質の高い作品を制作している。

Information

展示:Marlon Griffith 個展 “SCORE FOR A PROCESSION”

会期:2022年9月20日(火)-2022年10月5日(水)

場所:MARGIN 〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町4-10